あまりの突貫工事ぶりに不安の禁断症状。
其れ隠すビニールシートは露にはだけて。
無理とため息が露出。
其れでもけっこう急いだつもり。
居残る店ではないので仕事は残らないだろうが。
お手伝いさんにしてはセカセカしていたはず。
一息ついたときに、私は外から神宮店をながめた。
青山の暗闇に浮かぶ其れは。
自転車屋とは思えない。
そもそも自転車屋とはなんだ?
なんとか体裁は整ったかのように見える。
そうして。
原宿店は神宮店になった。
帰り際。
ビルの管理会社の方と話すうちに自転車を勧める盆栽屋が居た。
別に自転車を一台でも多く売りたいとか。
できれば高価な自転車を売りつけたいとか。
そういった気持ちは無く。
自転車乗りの仲間を増やしたい。
私が味わってきた自転車の素晴らしさを体感してほしい。
ただのそういった。
単純明快な気持ち。
こんなノンキなことができるのも鳥籠の中に居るがゆえ。
鳥籠のなかではゆったりとした時間を過ごさせてくれているから。
其れはある意味では強さ。
しかし、反面其れが弱さでもあると思う。