とある盆栽人の方に云われた。
〝衝動買いはしてないか〟
きっと慣れない貯金が祟ったのだな。
つまり溜まるモノが溜まったてぇわけだ。
半ば、自暴自棄の香りすら漂う。
これで。
あれが。
何年か先になったとか云われてしまうと。
取り繕うシマもなければ。
反論の余地なし。
リスペクトなし。
しかし、サイの角のようにただ独り歩め。
闇夜を切り裂き。
ジャック。
豆の樹。
走り出す。
帰宅後。
妻はいつだって優しく。
食卓にはカツオのたたきを。
これで録画した龍馬伝でも見ようかって?
ワルイワルイ。
参院選のおかげで時間がズレててね。
ところで、このカツオのたたき。
2列に整然と並べてあるわけだけれど。
おい。
ナツキのほうのカツオはあきらかに切れ端ばかりだよね。
これはいったいどういうことなんだい?
もっと、美味しいであろう。
見栄えも善いであろう私側に盛ってある身を食べたら?
なんて、私がクチ走った刹那。
妻は〝バチがあたるから〟と応えた。
リスペクトがある。
私にはこの優し過ぎる妻と成すべきことがヤマのようにある。
妻はジンジャーエールが飲みたい。
それだけ云った。
ぜいたくの気持ちはそれだけと云った。
かすれ声で。
せいいっぱいのぜいたくを私にぶつけてくれた。
ああ。
そうかい。
そうかい。
爽快。
そうなりたいのかい。
それくらいなら買ってはあげられると思うよ。
少しは大人にはなった。
つまり大人買いというわけさ。
衝動買い?
していない。