飲食店の引力

あれは群馬だった。
滞在時間が長かったこともあって。
我々は飲食店を必要としていた。
腹が減っていた。
旅の思い出。
そういう向きもあった。
そんなときには街道沿いのドライブインを舐めるように。
しかし、優柔不断により過ぎていくのみで。
結局のところ。
入ったのは駅前の食堂らしき物件。
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ノドが乾いていた。
レースを走ったばかりだ。
無理もない。
店に案内する係は居ないようだが。
もう席について勝手に水を飲んでいた。
メニューをひらいて。
まあ、こんなところだろうと目星をつけたところでオーダー。
そうしたら一品しか出来ないと云う。
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このとき一瞬だけ、出ようかという気持ちがよぎった。
けれども、そうはならなかった。
気持ちよりも腰の落ち着きが勝ってしまった。
飲食店には引力がある。
食べて代金を支払うまでは出る事は許されない。
オーダーの食べ物が出てくるあいだの暫く。
来客はあるが、皆席を立っていった。
彼らにはこの引力が効かない。
其の決断ができなかった自分を怨んだが。
もう待つしかないのだ。
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給仕が申し訳なさそうに持ってきたオーダー可能の一品は。
見た目と前段階からの雰囲気からしてマズそうに見えたのだが。
食べてみるとそうでもないどころか。
どちらかというと美味かった。
この日は飲食店の持つ引力に負けたわたしだが。
なんとかリスペクトがあった。
店探しは冒険の連続。
夜にも其の度胸を試される事になる。
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by astronautics | 2013-07-16 23:50 | グルマンヨシダ
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