わたしは見逃さなかった。
シャープ アイとは云われたものさ。
視線は逃さない。
サーチライト。
男の涙腺から漏れた涙を見ては。
ああ。
わたしはこの仕事をお引き受けできて良かったと思ったよ。
いくらかのトラブルがあったし。
工賃以上の作業はこなしたつもり。
でも、
いいじゃないか。
わたしは自転車を復帰させるという作業を任せていただき。
カレのライフストーリーの一端を見させてもらうことができたのだから。
男はそうそう泣くものではない。
だから男の涙は無条件に信用するとしよう。
わたしも福岡から出て記憶に残るほどの回数でしか泣いたことはないが。
そうそうに泣くことはないし。
まさか人前で号泣するほどのことは無い。
そこにリスペクトがある。